<高校野球東東京大会:城東9-0八丈>◇13日◇2回戦◇駒沢球場

負けても堂々としていた。八丈・菊池絆主将(2年)は「負けはしましたが、初めての公式戦。高校野球の雰囲気を味わうことができました。次に生かせると思います」と元気よく話した。選手全10人に3年生はいない。昨夏の独自大会はコロナの影響で出場辞退。秋も出場を見合わせ、春は予選が中止されたため、1、2年生だけの八丈ナインにとって、高校最初の大会だった。

実は、公式戦どころか、練習試合を含めても初めての試合だった。離島にあるため、コロナ禍では島外まで赴いて練習試合を組むことはできなかった。紅白戦をやるだけの人数もいない。代わりに、チーム内で実戦形式の練習を重ねた。指導者も守備に就いて、やりくりした。

成果は“粘り”となって現れた。0-8で迎えた5回裏の守り。2点を追加されたらコールド負けが成立する土俵際で、1死三塁から左飛を打たれた。だが、タッチアップを狙った三塁走者をホームで刺し、併殺。5回コールドを免れた。6回のピンチも1失点でしのぎ、7回へ。表に点が取れず、ここで試合終了となったが、簡単には終わらなかった。

離島のハンディがあるように思えるが、他にはない強みもある。島外から来た1人をのぞく9人は、全員が小学校から同じチーム。菊池絆は「小さい頃からの付き合いなので、仲がいいです。同じメンツでやっているので」とチームワークに胸を張った。先発した菊池明博投手(2年)はいとこでもあり、中学時代からバッテリーを組む。

木村嘉尚監督(37)は「初めての試合で元気を出して、頑張ってくれた」と評価した。菊池絆は「最終目標は3年の夏です。基礎力を徹底的に身につけたい」と1年後をにらんだ。【古川真弥】