「平成の怪物」と呼ばれた偉大な先輩へ、夏1勝目を贈った。横浜(神奈川)が26安打31得点で足柄に5回コールド勝ちし、初戦を突破した。

7日に同校OBの西武松坂大輔投手(40)が今季限りでの引退を発表。ユニホームを脱ぐレジェンドに、3年ぶり19回目の夏の甲子園出場を届ける。

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大先輩へ贈る1勝だった。3安打で4打点を挙げた横浜の4番、立花祥希捕手(3年)は口元を引き締めて言った。「松坂さんは自分たちの中では一番偉大な先輩。応援してくれていると思うので、甲子園に出るということになれば、良い年だったと思ってもらえるんじゃないでしょうか」。

思いをプレーに乗せ、伝統の「緻密な野球」を体現した。1点を先制した直後の1回1死二塁。カウント1-1から外角球を大振りせず、右前に運んだ。「チームとして徹底してきたバッティング」という、お手本のような逆方向への一打。コンパクトなスイングで野手の間を抜く。塁に出れば、相手の隙をすかさず盗む。この4番の適時打に5盗塁などを絡め、一挙8得点。立ち上がりで試合を決定づけた。

レジェンドと同じ「YOKOHAMA」のユニホームに袖を通したきっかけは、中2の夏に観戦した甲子園だった。小学生時代に中日ドラゴンズジュニアでプレーした経験もある生粋の愛知県民だが「横浜の選手がユニホームを着て戦う姿を見てかっこいいと思った」と野球留学を決意した。

入学後は、グラウンドに立つ「横浜高校44連勝」の記念碑を目標としてきた。「松坂さんたちが作ってくださった歴史に恥じないようなプレーをしたい」。勝つだけではない。内容にもこだわっていくと心に刻んでいる。狙うは自身初、チーム3年ぶりの夏の甲子園。快調な滑り出しも「大会の中で成長していかなければ優勝はない」と油断はない。昨秋の県大会準決勝では東海大相模にコールド負け。雪辱を果たして聖地へ-。松坂先輩へ、最高のプレゼントを届けてみせる。【勝部晃多】