両チームで計29得点、33安打の激しい打撃戦となった。14-14という点の取り合いに終止符を打ったのは身延の2番遠藤翼外野手(3年)だった。ヒットと四球に犠打を絡め1死二、三塁から、目の前で1番鈴木祐幸内野手(3年)が敬遠される。遠藤はネクストバッタースサークルで「なめられてるな」と感じたという。

「敬遠の後の初球は甘くなると思って狙ってました。打ったのは外寄りのストレートです」。打球は左前に飛ぶサヨナラ打。三塁走者の新津一真内野手(3年)が大きくジャンプしながらサヨナラのホームを踏んだ。遠藤は「目の前で敬遠されたのは初めて。怒りというよりかは闘志をかきたてられました。ガンガン行ってやろうと思って打席に入りました」。

すさまじい試合となった。甲府南が初回に5安打と敵失などで大量7点を奪うが、身延も負けてない。初戦の日川戦では前評判を覆す猛攻をしかけ15-0で5回コールド勝ちを収めている。7点を奪われたが、主将の鈴木は「1点ずつ返していけばまだ行けると思ってました。どこかでビッグイニングを作れればと」と、あきらめていなかった。

3回に4安打を集めて1点差に迫ると、身延ペースとなった。4回に2点を奪い逆転に成功。ここから甲府南が粘る。6回に1点を返して同点に追い付く。6回に身延が4点を加えて突き放しにかかるが、7回に4点を返して再び同点。

さらに8回裏に2点を奪われて3度目のリードを許したが、9回に三たび同点に追い付く執念を見せた。 遠藤のサヨナラ打で身延が熱戦を勝ちきったが、甲府南の必死な粘りに球場は拍手が途切れることはなかった。