船橋の本橋隼人外野手(3年)が、サイクル安打を達成。チームも15安打13得点、7回コールドで銚子商を破り21年ぶりの5回戦進出を果たした。

10-4で迎えた7回。本橋は1死満塁からアウトコース真っすぐを捉え、右中間に運び3点適時三塁打に。ゆっくりと三塁に到達すると、三塁コーチに「サイクル達成だよ」と告げられ、慌ててガッツポーズを突き上げた。「サイクルは全然気にしていませんでした。なかなか人生でできることではないので、うれしかったです」と淡々と話し「それよりも、この1本で走者を2人かえすことができたので、その喜びの方が大きかったです」と続け、記録よりも勝利。主砲の責任感は誰よりも強かった。

初回、第1打席は無死二塁からチェンジアップを左前安打に。2回、無死一塁からスライダーを左越え2ラン本塁打。快音が止まらない本橋のバットは第4打席には2死一塁からスライダーを中越え二塁打。4安打で5打点をたたき出した。

徹底力が、打撃の成果に表れた。春の県大会、準決勝で専大松戸と対戦するも打線は2安打と奮わず、0-7、7回コールド。完敗だった。「夏に向けての課題ができた」と、チームは打撃練習に力を入れた。

チームの決めごとは、高めに抜けた球は見逃さず強振する。低めのボール球を見極める。本橋は「追い込まれた状態を常にイメージし、低めを見逃すなど、常にイメージを膨らませる練習をしました」と話す。狙い球を見極め、積極的に振りにいきながら、ボール球は振らない。本橋は、真っすぐに変化球と自在に対応し、試合の流れを読みバットを振った。日暮剛平監督(38)は「究極の二項対立を追究していた結果が、試合の中で身についてきましたね」と目を細めた。

県内屈指の進学校で、本橋は学内でもトップクラスの成績。現在は医学部進学を希望し、大会直前まで練習が終わる夜7時から10時までオンラインで塾の授業を受けてきた。学校への通学時間も「貴重な時間」と単語帳を手放さない。学校のスローガンのひとつに「船校生たる者、二兎(にと)を追え」という言葉がある。本橋は「両方ともやり遂げることで、両方、伸びるんです」と、どちらも手を抜かない。新たな道を目指し、高校で野球は終えるつもり。今夏の目標は「甲子園出場」。完全燃焼の夏を誓う。

なお、夏の千葉県大会でサイクル安打を達成したのは、18年夏、木更津総合の野尻幸輝内野手(現法大3年)、東京学館の大野駿外野手(現東日本国際大)以来。