帯広大谷が南北北海道大会史上初のタイブレークを制し、8年ぶりの甲子園に向け初戦を突破した。1点を追う9回2死無走者から8-8の同点に追いつき、延長13回、12-10で旭川実を振り切った。プロ注目の相手右腕、田中楓基投手(3年)からの13本を含む計18安打で打撃戦を制した。

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帯広大谷が3時間53分の死闘を制した。夏の南北大会では史上初のタイブレーク。延長13回、2点リードで最後の打者を抑えると、グラウンドに飛び出したナインの顔には喜び、安堵(あんど)、疲労感が入り交じった。網野元監督(49)は「何度もダメかと思った。ほんとによく頑張ってくれた」と選手をねぎらった。斉藤主将は「なんとか初戦を突破できてよかったです」と疲れ切った表情で話した。

崖っぷちからの勝利だった。1点を追う9回、四球の走者が併殺打で一気に2死。万事休す…、しかし諦めなかった。カウント1-2と追い込まれながら4番高橋が中前打、5番村上も連打。そして6番嶋が右前適時打で追いついた。延長11回から照明も点灯され、無死一、二塁からのタイブレークとなった延長13回、内野ゴロや敵失などで4点を挙げ、逃げ切った。

対策の成果もあり、プロ注目の投手旭川実・田中楓を攻略した。大会前打撃マシンを通常のマウンドの距離から1~2メートル前に出し、球速は140キロ前半に設定。斉藤主将は「変化球は捨てる。そこは徹底できた」と真っすぐ狙いで積極的に攻めた結果が功を奏した。13安打を浴びせ、点の取り合いを制した。

日本ハム杉浦稔大投手の母校が、13年以来の夏甲子園へ、まずは昨秋全道準優勝の強敵を撃破した。斉藤主将は「これで1つ甲子園が近づいたと思う。1球1球集中して打ち勝っていきたい」と力を込めた。【山崎純一】

▽8回途中から5番手で登板しタイブレークまで投げきった帯広大谷・大友 ピンチでも大丈夫だと言い聞かせながら投げ抜いた。最後はもつれたが、抑えられて良かった。

◆タイブレーク 夏は全国に準じて18年から採用された。延長13回無死一、二塁から、12回までの打順を引き継ぐ打順で行う。今夏の地区予選では函館地区代表決定戦で知内が延長13回の末、6-2で函館中部に勝利。ほか、札幌地区1回戦の恵庭南6-5石狩南などで導入された。道高野連の独自開催だった昨夏は延長10回からタイブレークを導入し、南北海道大会準々決勝の北海-札幌大谷戦で実施され、札幌大谷が7-6でサヨナラ勝ち。