第1シードの海星が接戦を制し、3回戦進出を決めた。初回、加藤亭基(こうき)捕手(3年)の適時打で先制。続く2回には、2死一、三塁で三塁走者の安藤慎之佑内野手(3年)が重盗を仕掛けて相手のエラーを誘い、追加点を挙げた。「捕手の送球が浮いたら行こうと思っていた。練習してきたことができた」。

この日は4つの盗塁を決めるなど、鍛えられた機動力が光った。その影には「名参謀」の存在がある。

19年5月から同校のアドバイザーに就任した葛原美峰(よしたか)氏(65)は四日市工(三重)、高崎健康福祉大高崎(群馬)などを指導し、両校合わせて計10度甲子園に導いた実績を持つ。前任校では「機動破壊」と呼ばれた積極走塁で高校野球を席巻。同氏はその生みの親として、独自の走塁理論を持つ。森下晃理(あきまさ)監督(44)は「ただ走るのではなく、負けない走塁を学んでいる。チームにも浸透しつつある」と手ごたえを感じている。同監督は当時、葛原氏が指導していた高崎健康福祉大高崎の沖縄キャンプに5年連続で同行。機動破壊のイロハを学んだ縁があり、海星の指導を葛原氏に直訴した。

この日も試合終了直後に葛原氏から「長文LINE」があった。「投手を走者に残すなとダメ出しがありました」と苦笑いを浮かべる。

「まだまだな部分はたくさんある。もっと精度を上げていかないと」と同監督。百戦錬磨の「葛原メソッド」が隅々までチームに浸透した時、23年ぶりの夏の聖地が見えてくる。【山崎健太】