エースが投打で躍動した。

春の県大会準優勝の八戸工大一は、最速149キロ右腕・黒田将矢(3年)が、2点差に迫られた8回2死一、二塁の場面、右翼の守備からマウンドに向かった。先頭打者に適時打を許すも、後続は捕飛に打ち取り、最少失点で切り抜けた。「緊急登板だったけど、心の準備はできていた」。7-5の9回には、この日の最速146キロをマークするなど3者凡退。最後の打者は空振り三振で夏初戦突破を決めた。「初戦の緊張感はあったけど、冷静に投げることができた」と大粒の汗をぬぐった。

打っては5回2死だ。「3人で終わってしまうと、流れが変わると思った」。カウント1ボールから、甘く入った変化球を豪快に振り抜いた。打球は高々と舞い上がり、左翼芝生席へ突き刺さった。盛り上がるベンチを横目にガッツポーズでダイヤモンドを周回した。「今年初の公式戦1号です。手応えは普通だったんですけど、大勢のお客さんの中で打ててうれしかった」と、高校通算5号を振り返った。次戦は20日、県8強入りを懸けて八戸学院野辺地西と五所川原商の勝者と対戦する。「1試合1試合をしっかり戦っていく」と力を込めた。【佐藤究】