茨城の伝統校で今春県4強の水戸一が日立一との進学校対決を制してベスト16へ進出した。両校OBや関係者、高校野球ファンら2561人の観衆が見守る熱戦で、殊勲打を放ったのは5番桧山駿太内野手(3年)だ。3回2死一、二塁で思い切り引っ張った。右翼ポール際へ向かう打球を見ながら全力疾走。「切れるな」と祈り、芝生席で弾んだボールを見て右拳を突き上げた。「うれしさより驚きました。僕は人生でホームランを打ったことがなかったので。応援が後押ししてくれた」。野球人生1号が決勝3ランとなった。

チーム内では、1人でぶつぶつと自問自答しながら練習するなどの姿から「天然で、宇宙人みたいなやつ」(境堀史也主将)と愛される。そんな桧山は「宇宙へ行ってみたい」というのが将来の夢の1つ。実現の可能性を広げるため、勉学にも力を入れる。通学時間の約1時間半は「勉強しています」と、余念がない。理由は明白。「東京6大学で野球を続けたい。目指すなら、てっぺん」と、東大が第1志望。この3カ月間で成績もグングン伸ばしているという努力家は、野球でも“てっぺん”を目指して突き進む。【木下大輔】