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左肩痛を克服した元エース藤田が、悔しさをバネに「高校初完封&自己最多13奪三振」で4強入りに貢献した。今大会での2度のロングリリーフを経て、優勝候補との準決勝の大一番で初先発。「相手は素晴らしい打線で気を抜いたら打たれるので、引き締めてスキを作らないようにした。毛利投手はすばらしい投手なので、負けたくなかった」と、闘志むき出しで立ち向かった。

1回から、この日最速140キロ直球に決め球のスライダー、チェンジアップを交えて福岡大大濠打線を翻弄(ほんろう)。2回1死からの5者連続を含む自己最多13三振を奪った。9回1死三塁から奪った13個目に「お互いきつい中、外の真っすぐで三振を取れたことが今日一番良かった」と声を弾ませた。

悔しさを糧にした。本来は昨秋からエースだった。だが3月の練習試合のブルペンで左肩を痛め、3週間入院した。1カ月はボールを握ることもできず、キャッチボールを再開したのは5月に入ってからだった。

それでも入院中に理学療法士から、投げる時の下半身から上半身へのパワーの伝え方などを指導され、重心移動に役立てた。

春の実績がなく、夏は背番号11。しかし「離脱してチームに迷惑をかけた。チームで甲子園に行くことを目指している。一昨年は初戦負けだったので、先輩の借りを返し、1勝したい」と燃えている。頼もしい左腕が、チームに戻ってきた。【菊川光一】