阪神園芸のグラウンドキーパーは午前9時35分頃からせわしなく動き始めた。特に入念に作業しているのは外野の芝生だ。吸湿ローラーで水分を吸い取っては水を排出していく。左翼線、右翼線の白線も引き直す。内野の人工芝部分では、ベンチ方向に流れてきた黒土をスコップですくう。すべての作業がよどみなく、行われていく。

4日間の雨は芝生にとって大敵だろう。18年7月、甲子園で阪神戦が3試合連続の雨天中止になったことがあった。阪神園芸の金沢健児さんは「3日間、大雨で芝生は水に浸かりっ放しになって酸素が入らない。そういう経験はなかった」と話していた。外野フェンス沿いの芝は枯れるほどの惨状だ。水が引くと、芝に6センチほどの穴を開けて、通気性、通水性を改善する作業を行っていた。

時間にゆとりがあれば丹念に芝生をケアできるが、この日は違う。午前11時開始予定で、球児の戦いが待つ。何度も何度も、内外野の境目の芝生上をローラーで転がし、水分を取った。