<全国高校野球選手権:智弁和歌山5-1近江>◇28日◇準決勝

2年生の先発山田から3年生のエース岩佐へ。V候補の大阪桐蔭や盛岡大付を倒した近江の必勝リレーは、準決勝で実現しなかった。近江の夏が、終わった。

山田は強打の智弁和歌山相手でも臆さず、今大会自己最長の6回2/3を投げた。1点ビハインドの5回1死満塁のピンチは変化球で三振斬ると、最後は自己最速タイの146キロの直球で一邪飛に打ち取った。「みんなの思いも背負って1球に込めていた」。7回途中4失点。だが2番手は岩佐ではなかった。右肘に炎症が出たため、登板できなかった。

山田 自分の力不足で負けてしまった。岩佐さんが甲子園で投げている姿を、もう1度見たかったです。

岩佐 僕たち2人で必勝リレーができたのはよかった。山田がいないと僕もここまで来られなかった。感謝したいです。

2人の勝利の方程式で導いた20年ぶりのベスト4だった。背番号8の山田は5試合に先発し、降雨ノーゲームとなった1回戦の日大東北(福島)戦の63球含め、出場全チーム最多の546球を投げた。中軸も任され、17打数6安打で6打点&1本塁打。その山田と必勝リレーを築いたのが、エース岩佐だった。岩佐は今春、主戦投手ではなかった。だが、走り込みで下半身を強化して投球が安定し、背番号1をゲット。滋賀大会から終盤を託され、最速149キロの直球とスライダーで試合を締めてきた。

岩佐の194球と合わせ、2人で740球。夏の聖地で刻んだ記憶が色あせることはない。山田は岩佐の思いも背負い、また1年、夢を追う。【清水駿斗】

▽近江・多賀監督 「5回の満塁のピンチを抑えたことが、今年のチームを凝縮したシーンだった。意地は見せられた。3年生の頑張りは素晴らしかった。選手たちに感謝でいっぱいです。」

▽近江・春山主将 「春の時点では、こんなところまで来られるとは思っていなかった。僕を信じてついてきてくれた仲間に、本当にありがとうと伝えたいです。」

▽近江・島滝 「(昨年の3年生は)独自大会で優勝したけど、甲子園に行けない悔しい思いをされた。こういう形で結果を残すことができて、感謝したいです。」

▽近江・新野(この日は無安打も甲子園で2発) 「楽しかったです。(主将の)春山を日本一の男にするとやってきて、甲子園でも4試合勝つことができました。夢の舞台で試合ができて楽しかったのひと言です。」