日大三島が、劇的な延長サヨナラ勝ちで東海大会(30日開幕、愛知県)出場を決めた。今夏甲子園出場の静岡高を下し、6年ぶり4度目の東海切符を獲得。延長10回裏に池口奏(かなで)内野手(1年)がサヨナラ3ラン本塁打を放った。

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1年生の一振りが、東海大会への道を切り開いた。延長10回裏2死一、三塁。日大三島の3番・池口が打席に立った。「変化球は捨てて、真っすぐを待った」。張り詰めた緊張感の中でも頭は冷静だった。カウント2-1からの4球目。その直球を振り抜いた。「感触が完璧だった」。打球は右翼スタンドで弾んだ。

公式戦1号となる決勝3ランで、今夏の王者を粉砕。笑顔でダイヤモンドを1周すると、歓喜の輪に吸い込まれた。「良い場面で打てて本当に良かった」。無安打で迎えた5打席目、大仕事をやってのけた。

緊急事態宣言が解除された前日1日、永田裕治監督(57)は宣言中にできなかった全体練習を実施。メンバー外の選手も含め、雨のグラウンドで泥だらけになってノックを受けた。指揮官が「やっぱり全員野球。あえて全員で外でやった」と狙いを明かすと、池口も「めちゃくちゃ盛り上がったことが、ベンチワークや声だしにつながった」。試合前に得た“勢い”が劇的勝利につながった。

決勝は聖隷と対戦。昨年4月の就任後、初の東海切符を獲得した永田監督は「先を考えるようなチームではない。1戦1戦です」と言った。まずは、38年ぶりの秋季県大会制覇へ。池口を筆頭に、勢いは十分だ。【前田和哉】