丹生(にゅう、福井=北信越)が、21世紀枠で春夏通じて甲子園初出場を決めた。昨秋は県4強入り。3位決定戦では、敦賀気比に敗れたが終盤まで競り合った。敦賀気比はその後の北信越大会で優勝し、丹生の実力が浮き彫りになった。

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エース左腕の井上颯太投手(1年)は公式戦5試合中、2試合で2桁奪三振をマークするなど、チームを引っ張る。同校OBで広島に入団し、昨季、プロ初勝利など4勝を挙げた玉村昇悟投手(20)になぞらえて「玉村2世」と称される。春木竜一監督(49)は「いまの部員たちは、広島入りした玉村に憧れて入部してきてくれた世代」と明かす。かつて各地区に存在した少年野球チームは部員不足が顕著。野球人口の減少のあおりを食らう中、個性を重視するなど工夫して練習。31人の部員で春の甲子園切符をつかんだ。

練習ではバドミントンやサッカーなど、他競技も採り入れる。数年前から髪形も自由にした。いまは、丸刈り、髪を伸ばす選手が混在するという。冬は町で積極的に雪下ろし、雪かきに取り組む。過疎地域において、絆を深める活動を継続する。近年は強豪校に善戦しながら甲子園は遠かった。待ちに待った吉報が届き、憧れの土を踏む。

<センバツ特別枠>

◆21世紀枠 01年から導入。推薦校は原則として秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟129校以上はベスト32以上)から選ぶ。練習環境のハンディ克服、地域への貢献など野球の実力以外の要素も選考条件に加える。07年まで2校、08年から3校を選出(85回記念大会の13年と、明治神宮大会中止に伴い神宮大会枠がなかった昨年は4校)。東日本、西日本から1校ずつ、残り1校は地域を限定せずに選ぶ。

◆神宮大会枠 03年導入。明治神宮大会優勝校が所属する地区に出場枠1を割り当てる。今回は大阪桐蔭が優勝し、近畿地区に1枠をもたらした。