市和歌山は投打に圧倒され、準優勝した65年以来のセンバツ4強はならなかった。

半田真一監督(41)は絶対的エースの米田天翼(3年)の連投を避け、甲子園初登板の淵本彬仁(3年)を先発させた。その意図をこう明かした。

「今日、米田で行ってしまうと米田にしか頼れなくなってしまう。淵本が通用するという自信もあった。初の甲子園、大阪桐蔭で重圧は大きかったと思うが、経験するのとしないのとでは全然違う。こういうレベルのチームの力を知るのは大きなこと。淵本でいけるところまでと思っていた。できるだけ米田を投げさせないようにと。何とか5回投げきるまでと思っていたが、長打を打たれてしまったので、思い切って『米田、なんとかしてくれ』と思って出しました」

淵本が5回途中、計6失点のところでエースにマウンドが託された。前日141球で完投している米田は5回は無失点でしのいだが、6回に3本塁打、8失点の猛打を浴びた。イニングを完了できずに降板した。「情けないのひと言でしかない」と号泣した米田。悔しすぎるマウンドを振り返った。

「大阪桐蔭さんは1番から9番まで全員が本塁打を打てるような打線という印象でした。5回のあの場面でマウンドに行って、そこから6回、7回と無失点でチームに流れをつくっていくのがエースだと思ったんですけど、そこで自分の仕事ができなくて悔しかった。自分のボールが全く投げられなかった。連戦になって、自分のスタミナ不足が大きいと思う。今日の大阪桐蔭さんのような相手を完封できるような力をつけたい。スイングの鋭さや強さは他のチームと段違いでした」

半田監督は夏に向けて、米田にさらなる成長を求めた。

「もちろん疲れはあったと思うが、相手打者のコンタクト力というか、ミスショットせずに長打を打つのがすごいなと思って見ていた。米田は『行きます』とずっと言っていて。そういう気持ちが強い選手。(コンディションは)言い訳にしてほしくない。これからの成長につなげてほしい」と期待を込めた。