東陵は昨秋の県大会1回戦で敗れた佐沼に9-2の7回コールドで東部地区優勝。熊谷颯斗主将(3年)が4安打4打点と打線をけん引した。

初回から打者10人を送る猛攻で5得点のビッグイニングを作り出した。昨季は貧打に悩まされたが、この春に大きく改善。この日の15安打を含め、今大会は4試合すべてで2桁安打をマーク。熊谷は「1年かけてバットを振り込んできた結果が地区優勝につながったと思います」と練習の成果を強調した。

全力プレーでチームを盛り上げた。熊谷は打撃だけでなく、守備や走塁でもチームをけん引。守備では3回無死一、三塁の場面で、三ゴロを落ち着いて併殺処理。4回には三邪飛、三ゴロ、三ゴロと危なげなく3つのアウトを取った。「足を止めない粘り強い守備が自分たちの持ち味」と熊谷。大量リードにも油断せずきっちり役割を果たした。走塁では3回、二塁内野安打にしたヘッドスライディングや5回、二塁から本塁への全力疾走など猪突(ちょとつ)猛進。チームの勢いを絶やさなかった。

先輩のプレーが後輩を支えた。先発の前田直哉投手(2年)は、昨秋の県大会でも先発したが4失点。1イニングも投げきれずに降板。しかし、今回は6回1失点と先発の役目を十分に果たした。序盤こそ制球が定まらず、四球や安打を許したが、徐々に調子を上げ5、6回は連続で3者凡退。前田は「頼もしい先輩たちが守ってくれたので気持ちよく投げられました」と先輩の堅守に感謝した。

目標は甲子園1勝だ。同校は春夏1度ずつ甲子園に出場しているが、どちらも1回戦敗退。千葉亮輔監督(51)は「戦力的に厳しい年や宮城にずばぬけたチームがいる年もあり、決して簡単なことではない。でも、その目標だけは譲らずに目指していきたいです」。この春で「甲子園1勝」を実現する力を養っていく。【濱本神威】