大阪桐蔭が3度目の春夏甲子園連覇に向けて「スペシャル継投」だ。6回まで無失点、11奪三振と仁王立ちした川原嗣貴投手(3年)は7回、マウンドではなく左翼に走った。2投手で継投する2イニング中、自身も「まったくやってなくてビックリした」と言う、初めての守備位置に就いた。

188センチの川原がさらに大きく見えた。5点リードの9回、再び登板。2者連続奪三振で締めくくった。先発&救援の1人2役。西谷浩一監督(52)は言う。「夏に向けて、そういう場面もあるかもしれない。最後の1イニング、そういう練習をしてみようと」と明かす。長丁場の夏は1週間500球以内の球数制限の影響を受けやすい。打者の力量も上がり、投手の負担は増す。3月センバツを優勝し、日本一の夏頂点を見据えた勝負手を披露した。

最速145キロのプロ注目右腕も自覚十分だ。先発した川原は2回から独壇場。速球で懐を突き、変化球もさえた。計7回を13奪三振無失点。センバツで活躍して初めて背番号1をつけ、夏を見据える。「夏はそういうケースもある。球数制限もある。外野から最後にいい形で締めるのは夏の大会の課題になる」と言う。これで公式戦25連勝。どこよりも長く、高い山を登るため、どっしりと足固めする。【酒井俊作】