センバツ出場の天理が完敗した。奈良大付に13安打を許して打ち負けた。中村良二監督(53)は「うちはこんなもんです。ここで勝ち切れない。夏はこういう展開にしないように私も采配しないといけない」と厳しい表情を見せた。

エース南沢佑音投手(3年)が右肘の張りのため登録外。南沢が万全だったとしても、夏を勝ち抜くためにこの春は南沢に次ぐ存在の台頭が必要だった。

決勝では監督が期待をかけている2年生3人が登板した。先発の村上洸星は3回5失点と結果を出せなかったが、2番手の左腕、中川輝星は5回を1失点と安定した内容を見せた。3番手の嶋川雄大も1回を3人で片付けた。

「南沢は6月には戻れるので、メインの7月に合わせて調整させていく。南沢の次にくる投手が必要なんですが、中川がこの間も今日もゲームをつくってくれている。ある程度、メドが立ったかな」と左腕を高評価した。

チーム全体にも危機感を抱いている。今大会は入学直後の1年生も起用した。決勝でともに先発した松本大和内野手、大谷汰一外野手は2安打ずつ。松本は4回に右越えソロも放ち、大谷は二塁打2本。指揮官が「ウイークポイント」という外野と一塁を守れるため、上級生への刺激を期待している。夏の大会は選手間投票でメンバーを決めるため、戦力になるかは不透明だが「調子がよかったから使ってみたら、2人ともレギュラーを取る勢いですよね。切磋琢磨(せっさたくま)しながらチームを作っていけたら」と全体の底上げをもくろんでいる。

昨夏は甲子園4強、今年のセンバツは初戦で星稜(石川)に延長負けした。ドラフト候補の戸井零士内野手(3年)や4番の内藤大翔内野手(3年)を擁する今年も全国上位を狙う力は十分ある。

主将の戸井は「去年の夏は先輩が頑張ってくれてベスト4。僕はまだ甲子園でいい思いはしていない。まだまだできると思っている」と成長を誓った。【柏原誠】