大阪桐蔭がライバル履正社との接戦を制して優勝し、公式戦27連勝とした。21日から始まる近畿大会(和歌山市)に大阪代表で出場する。

エース前田悠伍投手(2年)がセンバツ以来の復帰登板を、2失点完投勝利で飾った。甲子園のあとはコンディション調整もあり、実戦は紅白戦のみ。1カ月半ぶりの対外試合とあって、初回から制球がつかない。3回には左打者3人に安打されて2点を先制された。めったに連打されることのない左腕が、めずらしく単調になっていた。

「履正社の打者は体が大きくなっていて、秋よりも威圧感というかオーラがあった。甘くなったら打たれると思った。久しぶりの実戦で冷静になれていなかったし、修正できなかった。(捕手の)松尾さんにも言われて、次の回からは足の上げ方を変えたりした。今日は(4回以降)少し冷静になれたので、成長というか勉強できた部分です」

甲子園で13回無失点の快投からは想像もできないが、もともと冷静になれないことが課題だった。4回以降はフォームもボールにも緩急をつけ、次第にペースアップ。試合を壊すことなく、打線の援護を待った。強力打線を相手に、きっちりと勝ち切ってみせた。

西谷浩一監督(52)は「展開によっては継投も考えたが、前田がどこまで投げられるかというところもあった。夏までにもっと力をつけないといけませんね。前田が打たれた中で、野手がどうするかも見たかった。打たれろと思っていました(笑い)。毎年ですが、どこの学校よりも春の大会が大事と思って臨んでいる。いろいろ試せる大会でもある。やるべきことが見えました」と、大阪大会を振り返っての収穫を口にした。

2点先制された直後に松尾汐恩捕手(3年)が左翼越えソロで、すかさず反撃。5回に松尾の二塁打から丸山一喜内野手(3年)左前打で同点とした。相手が継投策で出て、試合が膠着(こうちゃく)していた2-2の8回。代打工藤翔斗捕手(3年)の中犠飛でついに勝ち越した。この回は四球、犠打、安打、犠飛と1点を取るためにベンチと選手が連動した。好走塁もあった。相手の多田晃監督(43)を「大きな1点差」とうならせた。

センバツは記録的猛打で突き進んだが、粘り強さこそが大阪桐蔭の面目躍如でもある。2点を先行されるめずらしい展開になったが、大阪桐蔭にとってはそれも進化への必須要素。西谷監督が言ったように、願ってもない展開だった。

松尾は「点を取られて逆にグッというか、いい空気になった。味方を鼓舞する声かけをしようと毎日の練習から言っている。それができた。こういう試合がうちの本来の試合。どこのチームも力をつけてきている。夏に向けて、自分たちもこういう試合をプラスにして強くなっていきたい」とさらなる自信を携えた様子だった。【柏原誠】

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