伊東と伊東商は来年4月に統合を控え、現校名で臨む最後の夏となる。今春の地区予選は熱海、伊豆総合との合同チームで出場した伊東は、1年生部員の入部で単独出場が実現。少人数ながら、一体となって校歌を響かせる決意だ。伊東商は、エース竹河暖仁(はると、3年)が平常心を強調。持ち味の丁寧にコースを突く投球で、チームを勝利に導く。【前田和哉】

■単独チームで1勝だ

伊東が、一丸で3年ぶりの夏勝利を目指す。現校名で臨む最後の夏は、単独での出場が決定。白井亮次主将(3年)は「単独で出られることが幸せ。だからこそ結果を残して、OBの皆さんと校歌を聞きたい」とナインの思いを代弁した。

部員は11人だが、負傷などで2人が離脱中。大会本番も、実質9人で臨むことが濃厚だ。それでも、安立海都(あだち・かいと)投手(3年)は「練習でも1人1人が量をこなせるし、一体感も生まれる」と強調。フリー打撃では女子マネジャーが球拾いに入り、指揮官も守備につく。文字通り、全員で人数不足の“穴”を埋め、個の能力向上に励んできた。

開幕まで約1カ月。現在は、伊東商との合同練習を週に1度行い、課題の実戦感覚を養う。中山裕介監督(29)は「経験不足からくるミスの連鎖を断ち切れるようにできるかが鍵」と話す。1947年創部の伊東高校野球部。最後の1ページに「勝利」の2文字を刻むべく、強化を続ける。

■エース竹河に気負いなし

伊東商の竹河が、平常心でマウンドに上がる。同校最後のエースとして今夏を迎えるが、気負いはない。「最後ということを考え過ぎると、変に重圧になる。いつも通り投げて、結果的に1回でも多く校歌を流すことができればと思う」。静かに闘志を燃やした。

キレと制球力が魅力で、巧みなコーナーワークで打者を打ち取る。今冬は主に下半身強化に着手。学校近隣の小室山での走り込みなどを行った。先月22日の清水西との練習試合では、雨上がりのぬかるんだマウンドで1失点完投。「(投球時の)体が、かなり安定してきた。順調にきていると思う」と手応えを得た。

昨夏は聖隷クリストファーとの2回戦に先発したが、2回3失点で降板。チームも0-8で敗れた。「緊張で四球も出してしまい、思い通りの投球ができなかった。悔しかった。借りを返したい」。リベンジの思いも胸に秘めたエースが、勝利のために右腕を振る。

◆竹河暖仁(たけかわ・はると)2005年(平17)2月17日、伊東市生まれ。小1から南伊東ベアーズで野球を始め、中学は伊東北中軟式野球部でプレー。右投げ右打ち。家族は両親と兄。170センチ、65キロ。

◆伊東地区の学校改編 伊東商、伊東、伊東城ケ崎分校の3校が統合し、来年春に全日制と定時制の2課程を備えた「伊豆伊東高校」として生まれ変わる。全日制は普通科と商業科を併置。新校舎は伊東商の敷地に設置され、現在は伊東商の生徒が伊東に仮移転し、同じ校舎を使用している。