今春の第94回選抜高校野球大会で準優勝した近江(滋賀)と京都国際が、練習試合で対戦し、近江が競り勝った。

エース森下瑠大(りゅうだい=3年)を擁し、3季連続甲子園出場を決めていた京都国際は、センバツ開幕を控えた3月14日に受けた新型コロナウイルス感染の有無を調べる大会前PCR検査で13人が陽性と判定された。このため、開幕前日の同17日に大会出場を辞退。近畿地区の補欠1位校だった近江が繰り上げで出場し、同19日の1回戦で長崎日大と対戦。エース山田陽翔(はると=3年)らの奮闘で勝ち進み、センバツは準優勝した。

山田と森下は親交があり、戦わずしてセンバツの舞台を去ることになった球友のことをずっと気にかけ「出場のうれしさより、辞退した高校のことを思うと、いたたまれない気持ちが強かった」と、複雑な気持ちを明かしていた。多賀章仁監督(62)も京都国際の小牧憲継監督(38)から連絡をもらい、長崎日大戦の試合前には「京都国際さんの分まで今日は思い切りやろう」と選手たちに告げていた。新たな絆で結ばれた両校がこの日、顔を合わせることになった。

近江はエース山田が4番・投手で先発。森下は4番・指名打者で先発出場し、2回の初打席で山田から右安打を放ち、1死一、二塁まで好機を広げたが得点にはつながらず。試合は前半5回を終え、近江が横田悟内野手(2年)の2ラン、小竹(しのう)雅斗外野手(2年)のソロなどで4-0とリード。山田は5回を2安打6奪三振無失点に抑え、6回から右翼に回った。京都国際は6回1死からの森下の三塁打を起点に3点を返したが、7回以降は無得点に終わった。

試合後の山田は「甘い球を見逃さない森下は、さすがだなと思いました。甲子園で戦いたいという思いが強くなりました」と語った。新型コロナ感染の影響で左肘の関節に痛みが出ていることもあり、登板を回避した森下は「打ちたい気持ちがあったので、思いきっていきました。いい投手と対戦できて、自分のスイングもできていたので、これを継続していきたいです」と語った。