富士宮東の「不屈の男」が、開幕を心待ちにしている。窪田杏慈外野手(3年)は、度重なる故障に苦しんできたが、最後の夏は万全の状態が整いそうだ。「しっかり準備をして迎えられる大会は初。すごく楽しみ」と言葉を弾ませた。

入学時から腰椎分離症を抱え、一時は入部も悩んだ。1年秋に「9番・左翼」で定位置をつかんだ直後の11月には、練習試合中に死球を受けて顎を粉砕骨折。流動食の生活を強いられ、3週間の入院中には体重も約8キロ減った。昨年秋にも右足を骨折-。何度乗り越えても悪夢は続いた。

それでも、大勝良則監督(55)が「窪田の姿勢を見たら全員が弱音は吐けない」と驚く精神力で立ち上がった。筋トレを中心に「出来る事」を欠かさず、現在の体重は昨秋と比べても5キロ増加。骨折明けの今春には4割を超える出塁率も記録し、プロ注目の1番勝又へのつなぎ役として県進出に貢献した。

常に、けがと隣り合わせだった3年間も残りわずか。窪田は「春は自信にもなった。支えてくれた監督や仲間、家族に恩返しをしたい」と目を輝かせている。【前田和哉】

◆窪田杏慈(くぼた・あんじ)2004年(平16)10月22日、富士宮市生まれ。小5から芝富小ソフトボールクラブに所属。中学から野球を始め、芝川中軟式野球部でプレー。右投げ右打ち。家族は両親、兄。170センチ、70キロ。血液型O。