6年ぶりの東北王者を目指す東北(宮城2位)が、今春センバツに出場した花巻東(岩手1位)を3-1で破り、4強入りを果たした。伊藤千浩投手(3年)が、4番としては4打数3安打1打点、投げては2番手で4回無安打無失点に抑えた。

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東北・伊藤が投打で輝いた。2-1の8回1死二塁。カウント2-2から内角スライダーを左前へ。「自分が投げていて、すごい楽に投げたいと思ったので、『ここで1本』と自分を信じて振り抜いた結果が1点につながりました」。昨秋の東北大会王者・花巻東を突き放す一打になった。

2番手で好救援した。左翼で先発も、1点リードの6回無死二塁のピンチでマウンドへ。「自分はピンチで燃え上がるタイプ。『抑えるぞ』という気持ちでした」。犠打で1死三塁となり、打席に迎えたのは高校通算69本塁打の佐々木麟太郎内野手(2年)。2ストライクと追い込んだ直後にファウルで2球粘られたが、最後は134キロの外角直球で空を切らせた。

「すごくいいバッターなので、できる限りの力を振り絞って、三振を取れたのは自信につながったと思います」

続く同49本塁打の田代旭捕手(3年)も右飛でピンチを脱した。9回にも佐々木麟、田代を手玉に取り、無安打で試合を締めた。

東北OBのパドレス・ダルビッシュ有投手(35)も背負った、背番号「1」の継承者だ。憧れの選手はもちろんダルビッシュで「すごい偉大な方なので自分も近づきたいです」。変化球の投げ方などを動画で研究しているという。

優勝候補の花巻東を破った勢いで頂点まで駆け上がる。「このまま1戦1戦全力で戦って優勝したいです」。夏の甲子園は16年以来遠ざかるが、春の東北王者となり、名門復活につなげる。【山田愛斗】