前日8日に雨天ノーゲームで仕切り直しとなった一戦は、青森山田(青森1位)が延長13回タイブレークの末にノースアジア大明桜(秋田2位)を4-2で下し、準々決勝に駒を進めた。

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激戦にケリをつけた森川大輝主将(3年)が、二塁ベース上で力強く右拳を突き上げた。「(打球が)抜けた瞬間はうれしかった。粘り強く、チーム一丸となって戦えた」。3時間に及ぶ死闘。自らのバットでチームに勝利を呼び込み、主軸としてこれ以上ない結果を残した。

気持ちで運んだ。2-2で突入したタイブレークの延長13回2死二、三塁だ。「タイブレークで焦るのではなく、気持ちは熱く、頭は冷静に」。森川は打席に向かった。カウント1-2からの4球目。「真っすぐを狙っていた」と言葉通りに外角直球を捉えた。打球は右中間を真っ二つに破り、2人の走者が生還。春の東北大会8強入りの立役者になった。「仕留めきれて良かった。最後は気持ちでした」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

仕切り直しの一戦だった。前日8日は4回途中降雨ノーゲームに。3本塁打を放つアーチ攻勢で4-0とリードする展開だったが、雨に流された。それでも、「2試合できると思って、気持ちを切り替えて臨んだことが良かった」とプラス思考が勝因にもなった。

次戦は今日10日、準決勝進出を懸けて羽黒(山形1位)と激突する。「今日打てたから明日も打てる保証はない。毎試合、積極的に振っていって、一戦必勝を貫いていきたい」と言葉に力を込めた。15年以来7年ぶりの春みちのく制覇で、夏本番に向けて大きな弾みをつける。【佐藤究】

▼ノースアジア大明桜(秋田2位)はエース野中天翔投手(3年)の好投もむなしく、タイブレークの末に初戦で姿を消した。先発し、9回を投げ6安打2失点。140キロ台の直球にキレのある変化球を織り交ぜ、10奪三振もマーク。1-2の8回には2死から一、三塁のピンチを招くも、気迫を前面に出した投球で後続を一ゴロ。追加点を与えず、チームの反撃ムードを高めるなど、背番号「1」にふさわしいマウンドさばきだった。「投手戦になると思っていた。少しずつギアを上げながら投げることができた」と振り返った。輿石重弘監督は「夏につながる良いゲームだったと思います。まだまだ課題はありますけど、しっかり準備していきたい」と夏本番を見据えた。