富士が新体制で快進撃を狙う。今年4月、前任校の三島南を昨春のセンバツに導いた稲木恵介監督(43)が赴任。新指揮官の下で夏に挑む。主将の藤曲朝陽(あさひ)捕手(3年)は「やってきたことを発揮して、ベスト8まで進みたい」と目標を語った。

稲木監督は異動後、7月の県大会開幕まで、約3カ月の準備期間しかなかった。「選手の考えとギャップがある。お互いに知らない2年間を埋めるため」と野球部ノートを始めた。課題や目標、各自の意見を毎日、“当番制”で記し、共有。藤曲は「選手間の会話も増えた。意思疎通の貴重なツールになっている」。相乗効果も生まれ、チームの結束を強めてきた。

富士は県屈指の進学校。野球部からも今春、6人が国公立大に合格。指揮官は睡眠、勉強時間確保のために効率化も図った。フリー打撃では、三島南で活用した映像遅延装置を使い、スイングを確認。ナインはその場で修正し、次の打席に入る。藤曲は「以前は撮ってもらった映像を家で見ていたけど、その場で確認できる。1球に対する意識も変わった」と強調。平日2時間の練習時間を有効に使い、打力を磨いた。

稲木監督は「監督が代わったけど、おもしろい野球ができた。そう思って受験勉強に向かってほしい」と願う。本番までは、残り約1カ月。新生・富士が、最高の夏を過ごす準備を続ける。【前田和哉】