昨夏準Vの新潟産大付には、決勝敗退を経験したメンバーが1人だけ残っている。悔しさをグラウンドで直接、味わった主将の中村桜介三塁手(3年)だ。今春県大会は4回戦どまり。今夏は六日町との初戦2回戦から始まる。貪欲に得点を狙う集団に変わったチームを経験豊富な主将がけん引する。

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目を大きく見開いた中村が、三塁線上に飛ぶボールに身を投げた。白かった練習ユニホームは、あっという間に土で汚れる。チームは夏に向けて内野陣を大幅に配置転換。今春の遊撃手から昨夏と同じ三塁の位置に移った中村は、土まみれになりながらノックのボールに反応する。攻撃も春以降、バントやエンドランなどを生かした機動力野球に変革中だ。春県大会の打率6割2分5厘で暴れた3番打者の主将は「きれいな安打でなくても1点を取る野球をしたい」と話す。

打撃練習は走者をつけてアウトカウントを設定。「『がめつく点を取りにいこう』と普段から練習している」と中村は言う。状況に応じてヒッティングかバントかを判断しながら行ってきた。「1点を取るために何をやればいいかをチームで考えながら練習している」。準優勝した昨夏より打線は小粒になっただけに、点を取りにいくという姿勢を率先して見せている。

昨夏の登録メンバー20人の中の2年生(当時)は、三塁手でスタメン出場した中村だけ。夏の独特な雰囲気を肌で知る唯一の選手だ。経験者としてメンバーを引っ張る責任は重い。その役割は小中高を通じて主将を務めてきたリーダーにうってつけだ。「嫌われることを恐れない」と練習中に気づいたことはズバズバと指摘し、チームを締めてきた。「昨夏、自分たちの代になったら絶対、優勝してやろうと思った」。中村のリベンジの夏が始まる。【涌井幹雄】

◆中村桜介(なかむら・おうすけ)2004年(平16)11月30日生まれ。野球は小3から出雲崎スカイヤーズで開始。出雲崎中時代は柏崎シニアに所属した。昨夏決勝の日本文理戦(3-7)は5番打者の三塁手として4打数1安打。173センチ、70キロ。右投げ右打ち。血液型B。