第3シードから初の甲子園を目指す掛川東に、頼もしい戦力が帰ってきた。負傷離脱していた平尾優成外野手(3年)が、今月に入って戦列復帰。現在も、患部にはサポーターが巻かれているが「怖さはない。主軸としてチームを引っ張りたい」ときっぱり。言葉に覚悟をにじませた。

5月7日の春季県大会準決勝の静岡高戦。試合中に右膝後十字靱帯(じんたい)を損傷し、一時は夏の出場が危ぶまれた。手術の選択肢もあったが「手術をしたら間に合わない。試合に出たい思いが強かった」と保存療法を選択。懸命なリハビリで間に合わせた。

“ピンチ”を力に変えた。離脱中の筋トレで体重は3キロ増加。実戦復帰した11~12日の岐阜遠征では、美濃加茂戦で高校通算10号となる本塁打を放った。「前よりもバットが軽く感じるようになった」。進化を結果で証明してみせた。

春季大会では打率4割。投げても最速141キロの直球を武器に守護神を務めるなど、チーム初の県3位の躍進を支えた。最後の夏も「打撃だけでなく、マウンドでも『1点も与えない』という強い気持ちで投げる」と期待を背負う。

初戦(来月17日の2回戦)の相手は藤枝東-沼津城北の勝者。平尾は「多くの人に支えられてきた。恩返しをするために、少しでも良い状態を整えたい」と言った。本番まで約3週間。調整のギアを上げる。【前田和哉】

◆平尾優成(ひらお・ゆうせい)2004年(平16)11月7日、菊川市生まれ。小2から桜木野球少年団(掛川市)に所属。掛川桜が丘中では軟式野球部。右投げ右打ち。家族は両親、兄、妹。177センチ、81キロ。血液型AB。

▼掛川東 1997年創部。今春の県大会では、6試合中5試合で2桁安打を記録。準々決勝で浜松工を退け、創部26年目で初のベスト4に入った。同大会以降は走塁にも力を入れ、得点力が上がった。榛村主将は「打ち勝つ野球に加えて、足も使いたい」とイメージを膨らませる。エース右腕の宇田、榛村捕手を中心とした守備も、失策ゼロを目指して強化に励んできた。目標は、現チーム結成時に選手間で決めた「甲子園1勝」。