<高校野球鹿児島大会:鹿児島実2-1神村学園>◇8日◇1回戦◇平和リース球場

ゲームセットの瞬間、今春の九州王者が泣き崩れた。神村学園が鹿児島実に競り負け、初戦で敗退。同点の延長11回に勝ち越しを許し、その裏は3者凡退。主将の福寿大智外野手(3年)は「九州王者のプライドをはき違えていたかもしれない」と、肩を落とした。

「春に九州を優勝して、自分たちは強くなったのかなって。もっと上を目指そうという雰囲気はあったけど、その雰囲気は冬ほどはなかったかもしれない」

言葉では「満足せずにいこう」と発しても、心のどこかに慢心があった。福寿は「もっとやれることはあったと思います」と話すが、小田大介監督(39)は「誰を責めるということはない。本当にいいチームだった。ベンチにいてすごく楽しい時間だった」と、名残惜しそうに話した。

1年生の指導は2年生が、2年生の指導は3年生が。下級生も上級生に指導をお願いできるように、雰囲気づくりに励んできた。小田監督も「髪を伸ばしたほうが優しく見えると言われたので」と、丸刈り頭をやめた。敗れたが、11回裏の2死走者なしまで、神村学園のベンチには笑顔があった。【只松憲】