学校統合3年目の宮古商工がサヨナラ勝ちし、2年連続で初戦を突破した。延長10回に及ぶ熱戦で平舘を6-5で破った。2番瀬川璃久内野手(3年)が人生初のサヨナラ打含む3安打3打点と存在感を示した。

「くせ者」が試合を決めた。1番三田地健太捕手(3年)が申告敬遠され、瀬川璃にこの日6打席目が回ってきた。5-5の延長10回2死一、三塁。「『ここで自分が決める気持ち』と挑みました」。カウント1-1から内角変化球を左前にしぶとく運んだ。二塁まで全力疾走して一塁側ベンチに向けて方向転換。「緊張がほぐれて勝ったという実感がわきました」。ベンチから飛び出してきたナインと次々に抱き合い、笑顔で喜びを分かち合った。

指揮官からの信頼も厚い。一打サヨナラの場面で三田地との勝負は避けられたものの、瀬川璃が打つという予感はあった。菊池暁監督(43)は「瀬川は何かやってくれるのではと思わせてくれる、くせ者的な存在です」。2点を追う7回1死二、三塁では自らの判断で意表を突くセーフティーバント。練習を重ねて得意だというバントでチームに貴重な得点をもたらし、9回にも安打を放った。

次戦13日の2回戦は第2シードの盛岡大付と対戦する。「体格ではかなわないので、挑戦者の気持ちで挑みたい」。宮古工と宮古商が20年4月に統合して開校した宮古商工。優勝候補相手に1人1人が役割を果たし、新たな歴史を切り開く。【山田愛斗】