昨夏甲子園準Vで、ノーシードから頂点を狙う智弁学園が5回コールド発進した。

決めたのは高良鷹二郎(こうら・ようじろう)捕手(2年)だ。5回に1点を加えて7点差としなお無死二、三塁で高校通算2号、公式戦初となる3ラン。それまで12アウトのうちフライアウトが8つを数え、「とにかく後ろにつなぐ意識でした」。再び打ち上げてしまったが、打球は雨上がりの空に大きな弧を描いて左翼芝生席で弾んだ。

マスクをかぶっては先発右腕・中山優月(ゆづき)投手(2年)を「信じて投げてこい」と鼓舞。力強い真っすぐで勝負し、2回を無失点。サイド左腕の鳫野(がんの)陸斗投手(3年)も3回を無失点で、完封リレーに導いた。強肩も武器にする高良は「打つというより守りでリズムを作って点を重ねていきたい」と快勝にも慢心はなかった。

昨夏の奈良大会は準決勝まで全4試合で2桁得点。甲子園も1回戦で倉敷商(岡山)から10点を奪うなど強打で決勝に初進出した。ただ、昨秋から今春まで8試合で2桁得点は1度のみ。昨秋の近畿大会1回戦では東洋大姫路(兵庫)に完封負けし、センバツ切符を逃した。今春の県大会も3回戦で生駒に惜敗した。

夏に向けて練習でフライを打つと交代になるルールを設けるなど、ライナー性の打撃を意識してきた。それだけに小坂将商監督(44)が「(今日も)フライが多い。低い打球でつながりを徹底し、1点ずつ得点を積み重ねていく」と言えば、酒井優夢(ゆうむ)主将(3年)も「自分たちの野球をもっと徹底する必要がある」とかぶとの緒を締めた。【岡崎空日南太】

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