今春センバツに21世紀枠で出場した只見が勿来工に2-0で勝利し、夏のスタートを切った。先発の大竹優真投手(3年)が、7安打4奪三振で公式戦初完封。野手陣の堅守も光り、守り勝った。会津学鳳は、相馬総合に9-6の逆転勝利。1-5で迎えた5回、8得点のビッグイニングで試合をひっくり返した。

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「初回と同じくらいの気持ちで腕を振りました」。9回、大竹の頭には完封がちらついたが、気を抜かずに冷静に腕を振った。最後の打者を渾身(こんしん)のストレートで遊ゴロに打ち取ると仲間の元へ駆け寄り声を上げた。大竹は「今日できることはすべて出し切れたと思います」。センバツで全国レベルを経験してから取り組んできたことを出し切った快投だった。

再三のピンチも仲間の堅守に助けられた。3回まで3イニング連続3者凡退と好投したが、4回、相手1番に中前安打を浴び、この試合初めて走者を背負った。続く2番にあわや左前安打という強い打球を打たれたが、吉津塁主将(3年)が好捕し遊直。飛び出していた走者を吉津が見逃さず、一塁へ送球。併殺に仕留め、打者12人で4回を終えた。6回は2死から2安打1四球で満塁のピンチを背負ったが「打たせればバックが必ず捕ってくれると思ったので信じて投げました」。相手4番に投じたツーシームは高く舞い上がる中飛。仲間を信じてピンチを脱した。

大竹は自身初の公式戦完封に「バックがしっかり守ってくれた。全員でしっかり守り勝つことができてうれしいです」と喜んだ一方「満足するのは今日まで」と勝ってかぶとの緒を締めた。目標は甲子園。ここで満足してはいられない。「目の前の1戦1戦をしっかり戦うだけです」。今度は自分たちの力で夏を勝ち抜き、もう1度聖地の土を踏む。【濱本神威】