<高校野球西東京大会:国立5-3南平>◇13日◇2回戦◇S&D昭島スタジアム

双子で挑んだ最後の夏は、涙色に染まった。南平(西東京)の先発マウンドを任された背番号「1」で主将の弟・小林寛太投手(3年)と、2番打者で背番号「4」の兄・壮太内野手(3年)。初戦敗退が決まった瞬間、弟は泣き崩れた。

マネジャーも見分けられないほど似ている2人は、小学生から野球を始めた。好奇心旺盛な弟と、それに合わせる兄。「つい言いすぎてしまう」と話す弟を、「僕が兄なので、ほんとは性格は逆のはずなんですけど」と、兄は苦笑いで受け止める。今もけんかは絶えないが、その発端はほとんどが野球だ。

中学からは弟が投手、兄が捕手となり、2人でバッテリーを組んだ。相手チームから「タッチだ」と注目されることを、弟は歓迎していた。高校入学当初もバッテリーだったが、高校1年秋に兄が右肩痛を発症。「投げるのが怖くなった」と漏らしながらも、内野手に転向して努力する兄の姿を弟はグラウンドでも、家でも見守っていた。

勝利を目指して挑んだ初戦。エースの弟が5回途中で降板すると、兄が遊撃、弟が二塁を守り、双子で二遊間を組んだ。スタンドから「タッチ」の応援歌が流れる中、兄が3打席目に安打を放つと、弟はベンチで手をたたいて喜んだ。

試合後、弟・寛太が「自分が怒ったり、言い過ぎたりしても聞いてくれて、ありがとうと伝えたい」と涙声で伝えると、兄・壮太は「一緒にやって本当によかった」とうなずいた。兄の言葉を耳にし、弟のほおに涙が流れた。【藤塚大輔】

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