投打ともに完璧な内容を見せた。今春王者の羽黒が、米沢興譲館に10-0の5回コールド勝ち。先発した五十嵐竜投手(3年)が、5回打者15人に対し、8奪三振を含む完全投球を披露。打線が11安打10得点を挙げ、8強一番乗りを決めた。なお、天候悪化により寒河江対鶴岡東、新庄東対米沢工、酒田光陵対日大山形の試合は、今日16日に順延となった。

直球が走っていた。五十嵐は「(直球は)自信のあるボール。今日は真っすぐが一番良かったです」。直球を軸に、初回3者連続三振。最後の打者を外角低めの直球で見逃し三振に仕留めるなど8個の三振を奪い、わずか55球で15個のアウトを取った。「打者がどういう対応をしてくるのかを1球目で判断して、どう打ち取るかのビジョンを立てて投げていました」。冷静なゲームメークが光った。

エースの背中を追いかけてきた。羽黒の背番号「1」を背負う本間葉琉投手(3年)は、1年時から試合に出場。その姿が五十嵐の成長の糧となった。「新チームになって、試合で投げていく自覚と覚悟を持った。葉琉に勝てるように、お互い競い合っています」。この日、背番号「10」は5回完全投球で、羽黒の「2枚看板」として恥じない投球を見せたが「(葉琉は)まだまだ勝てない存在。おごらず、対戦相手にも、葉琉にも勝てるように、徹底的に戦いたいです」と満足していない。自他ともに認める「2枚看板」実現のため、さらに自分を磨いていく。

昨秋の県大会は東海大山形に2-6で初戦敗退。その悔しさをバネに成長し、春を制したが、気持ちは挑戦者のままだ。五十嵐は「自分たちはあくまで秋の初戦で負けたチーム。挑戦者であることは変わらないので、1人1人が自覚と覚悟を持って戦っていきます」と気を引き締めた。18年以来の夏の頂点まで、あと3勝だ。【濱本神威】