センバツ出場の木更津総合は、1年生のひと振りで劇的な逆転勝利を決め、準々決勝を決めた。

2-5で迎えた8回、2点を挙げ、なお無死一、三塁。打席の羽根徹平内野手(1年)は上級生に「最低限の仕事をすればいいんだ」と声を掛けられると、大きくうなずいた。「犠飛かゲッツー崩れの内野安打でいい。気持ちが楽になりました」。2ストライクから真ん中高めの直球をフルスイングすると、打球は大きな弧を描き、右翼芝生席へ吸い込まれ逆転の3ラン。羽根は一塁ベースを回ると、ガッツポーズをしながら、2回大きくジャンプ。体全体で喜びを表現した。

入学し約3カ月。公式戦では初本塁打。「来た球を打ちました。体がうまく反応したと思います。先輩たちの夏を終わらせたくなかったので、ホッとしました。すごくうれしい気持ちです」と、試合後は冷静に振り返った。

真面目な性格で、入学以来、黙々と練習に取り組んできた。「地元のチームから甲子園に出たかった」と木更津総合に入学。今春のセンバツはテレビ観戦した。「イメージ通り。しっかりとしたチーム」と気持ちを高めた。捕手から三塁手に転向すると、朝練習、全体練習が終わってからの自主練習は毎日欠かさず。「声」と「元気」を大事にするチームで、おとなしい性格も積極的に声を出し、初球から打っていく姿勢も芽生えた。中西祐樹主将(3年)は「最近は頑張って声も出すようになってきました。苦しい場面で打ってくれた。頼れる1年生ですね」と笑顔で話した。

エース・越井颯一郎投手(3年)が注目される中で、粘り強く打撃で勝利をつかんだ。ルーキーパワーで勢いを増した木更津総合。春夏連続出場へ。チーム一丸、力強く突き進む。【保坂淑子】

◆羽根徹平(はね・てっぺい)2006年(平18)7月26日生まれ、千葉県富津市出身。青堀小1から青堀少年野球クラブで野球を始め、富津中では木更津シニアで捕手としてプレー。木更津総合では1年春からベンチ入り。169センチ、84キロ。右投げ左打ち。