奈良北の足立啓人投手(3年)が、奈良大会では29年ぶりとなるノーヒットノーランを達成し8強入りした。

3回までに4つの三振を奪うと、4回には三者連続三振で勢いに乗った。2つの四球を出したものの、9回を投げきって被安打なし。公式戦初完投が快挙となった。

増井啓央監督(40)は当初、3回までの予定で継投する考えだったという。回が進むにつれ調子を上げていき、同監督は「ナイスピッチング。球のキレが良かったですね」と褒めた。

この日使った球種は130キロ台のストレートとスライダーのみ。途中から右ふくらはぎがつりそうになったという。身長170センチと小柄で、小学5年まではサッカーをしていたという足立は「達成感とともに疲れがドッときました。みんなが試合中にノーノー(ノーヒットノーラン)と言ってくるので、『意識してしまうから止めて~』と思っていました」と笑顔を見せた。

奈良大会のノーヒットノーランは1993年の五條-高田戦で、五條の西前竜一(現奈良高専監督)以来29年ぶり。

奈良北は甲子園出場歴はない。だが、昨秋は準決勝で智弁学園に6-7で惜敗。3位決定戦は3-7で天理に敗れた。目標とする強豪撃破へ、23日の準々決勝は春夏連続出場を狙う天理と対決する。

増井監督は「天理さんに勝たないと上にはいけない。そこを目指してやってきた」。県立の進学校の熱い夏は、まだ続く。