ハンディを「情報共有」で乗り越えた。浦和実(埼玉)は4番橋本泰知内野手(3年)の5打数2安打3打点を筆頭に、18安打8得点の猛攻で、16年夏以来6年ぶりの8強に進出した。グラウンドは住宅街にあるため、練習でフリー打撃は行えないが、今大会は4戦合計41安打22得点。相手投手の特徴をつかみ、全員が一丸となって安打を積み重ねるのが「浦実打線」の特徴だ。23日は過去最高に並ぶ4強入りをかけ、浦和学院に挑む。

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自分たちのミスで闘争心に火が付いた。初回に先制した浦和実だが、3回に失策が絡んで4失点した。橋本は「これでスイッチが入った」。4回戦から中2日。チーム全体が浮ついた状態だったが、一気に緊張感が増した。7回に同点に追いつくと、さらに2死満塁で橋本が左翼後方へ走者一掃の適時二塁打。逆転勝ちで8強進出を決めた。

ここまで4戦で22得点。打線好調の秘訣(ひけつ)は念入りな打撃練習…かと思いきや、浦和大敷地内にある野球部のグラウンドには塀がなく、住宅街に近いためフリー打撃など実践練習が行えない。ネットで囲まれたケージの中でバットを振るが、満足とはいえない練習環境。それでも橋本は「その分、情報共有を大事にしています」と言う。練習試合では投手の特徴をつかみ、それを選手間で伝え合う。この日も3投手が継投した相手に18安打。成果が実を結んだ。

辻川正彦監督(57)は「入りが悪い。ゲームとしては最悪だった」と厳しい表情だが、6年ぶりの8強進出で頂点も見えてきた。23日準々決勝の相手は、Aシード、優勝候補筆頭の浦和学院。同監督「普通にやってたら勝てないので、がっぷり四つにならないように頑張る」。浦和学院の「超攻撃型野球」に全員一丸の「浦実打線」で対抗する。【星夏穂】