共栄学園は、春の王者関東第一と9回まで戦った。ここまでコールドで勝ち上がってきた相手を、苦しめた。

先発したエース池田恵徳(けいとく)投手(3年)に、涙はなかった。「3年間やってきて、練習試合も公式戦も含めて今日が一番楽しかった。悔いよりも、楽しかった。ベストを尽くせました」。高校で野球は辞めると決めていた。最後の日が、最高の日になった。

強気に攻める投球を貫いた。初回に四球と味方の失策が絡んで1点を先制された。しかし2、3回は走者を背負っても内角を突く投球で追加点は許さなかった。3回終了後に降雨のため47分間の中断。気合を入れて仕切り直してきた関東第一打線に4回、5回と1失点を喫してマウンドを降りた。4回1/3を被安打6の4四死球、3失点(自責2)。「自分ができることは、攻めきることだと考えていた。インコースにしっかり投げ切れた。スコアボードに(2、3回と)0を並べられました」。

強力打線と真っ向勝負した経験は、これからの人生の糧となる。【保坂恭子】