ノーシードから13年ぶりの聖地へ王手をかけた。聖望学園(埼玉)が今春準VのAシード山村学園に5-4で逆転勝ちし、6年ぶりの決勝進出を決めた。先発した背番号1のエース右腕・岡部大輝投手(3年)が7回を4安打3四死球で3失点と踏ん張り、王者・浦和学院との雪辱戦切符をつかんだ。昨夏は埼玉大会初戦で、自身もマウンドで打ち込まれた浦和学院にコールド負け。1年前の悔しさを晴らすべく、09年以来の甲子園を狙う。

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1-1で迎えた4回表。1死満塁から、岡部のボールは中前にはじき返された。2点を勝ち越されたが、マウンド上で平常心を保った。「落ち込むことはなかった」。次の打者を併殺に仕留めると、その裏に打線が5連打で逆転。粘り強い投球で、流れを渡さなかった。「2年生の時は打ち込まれたので…」。1年前から成長した姿が、そこにはあった。

昨夏の埼玉大会。初戦で浦和学院と対戦し、岡部は2回途中から登板した。大会1カ月前から始めたサイドスロー転向がはまり、5回まで無失点。しかし、4-2とリードして迎えた6回に悪夢が待っていた。自らの四球などでピンチを背負い、満塁本塁打を浴びた。そこから試合が崩れ、4-11で8回コールド負けを喫した。「負けてから2週間くらいは、打たれたシーンが夢に出てくることもあった」。悔しくて、たまらなかった。

そこから1年。再びオーバースローに戻し、サイド転向時に覚えたスライダーに磨きをかけた。ピンチの場面での制球力にもこだわってきた。悔しさを胸に挑んだ最後の夏。5試合に先発し、30回1/3を投げて自責点5。ノーシードながら、昌平や山村学園の強豪を撃破し、決勝へと導いた。

甲子園を懸けた決勝は、1年前に敗れた浦和学院が待ち構える。「あの時は本当に悔しかった。次は自分の投球で勝負したい」。悔しさを晴らす舞台は整った。成長した右腕が、甲子園への扉を開く。【藤塚大輔】