掛川西が、3連覇(20年代替大会を除く)を狙う第2シード・静岡高を3-1の逆転で下し、2大会連続の準決勝に駒を進めた。9回表2死満塁で山本柊太(しゅうた)内野手(3年)が、走者一掃の逆転3点二塁打。投げても3番手で登板し、自ら試合を締めた。2季連続の甲子園を目指す日大三島、第4シードの静清、聖隷クリストファーも勝利。準決勝は26日、草薙球場で行われる。

掛川西の山本が、逆転劇の主役になった。0-1の9回表2死満塁。2ストライクと追い込まれながら、外角の変化球を捉えた。打球は右翼線に伸び、前進守備を敷いた相手右翼手の頭上右を越えた。「芯に当たって『これは抜ける』と思った」。あと1球で終戦の土壇場から、走者一掃の逆転二塁打。塁上で何度も両手の拳を突き上げた。

今大会は、4回戦までの4試合で1安打と低迷した。前日23日の練習中に打撃フォーム変更を決断。「少しでも長く(球を)見られるように」とすり足にした。この日、決勝打を含め3安打中2本を逆方向に運んだ。「引きつけて、逆らわずに打てた」。王者相手の正念場で結果を残した。

「打者・山本」だけではない。8回から3番手で登板。同回に先制を許すも、自らのバットで逆転し、最終回は3者凡退で締めた。「うれしかった」。“二刀流”のヒーローは雄たけびを上げ、整列に加わった。

2009年春以来の甲子園まであと2勝。準決勝では、日大三島と対する。昨秋の県大会準々決勝(9●10)では「あと1球」から逆転を許し、敗戦投手となった山本。因縁の相手との再戦に向け、「高校でやってきたことを思い切ってぶつけたい」。雪辱を果たし、聖地に王手をかける。【前田和哉】