完全無欠の鶴岡東は、最後まで強かった。準決勝までの4試合を全試合コールド、全試合無失点で勝ち上がり、失策は初戦の1つのみ。堅守の鶴岡東が決勝でも盤石の試合運びを見せた。

小林が初回から3回まで3イニング連続3者凡退で流れを作ると、1-0で迎えた3回裏1死二塁、3番古賀亮祐内野手(3年)が中前適時打で2点目。4番前田夢翔捕手(3年)が左前安打、5番小林昇一郎外野手(3年)が中適時打と立て続けにヒットを放ち、3-0とリードを広げた。打線の援護を受けた小林は5回までを1安打無失点で終えた。

優勝へのパーフェクトリリーフだ! 小林が6、7回に1点ずつを返され、3-2の7回2死二塁で降板。一打同点のピンチだったが、マウンドを引き継いだ矢部がたったの2球で三ゴロに仕留めた。「どんなピンチでも思いっきり腕を振って打ち取るイメージで投げました」。力強く腕を振り、8回を11球、9回を14球で3者凡退。「去年みたいになりたくなかった。一生懸命、1年間練習をやってきました」。思いのこもった投球は完璧だった。矢部は静かに「うれしいです」と喜びをかみしめた。

同校は19年夏を優勝、20年夏の独自大会でも優勝したが、3連覇がかかった昨夏は東海大山形に2-7で敗れ、準決勝敗退。3年生にとっては、初の甲子園をかけた決勝で、見事王者に返り咲いた。佐藤叶人主将(3年)は「甲子園を目指して3年間やってきた仲間たちと、優勝の気持ちを分かち合えて本当にうれしく思います」と喜んだ。目標は同校の甲子園最高成績である19年の16強を超えること。混戦の山形を勝ち抜いた全員野球で聖地に乗り込む。【濱本神威】