山形中央は大会初先発の2年生・武田陸玖投手の立ち上がりに魔物が潜んでいた。

初回1死一、三塁。相手4番の時、一塁へけん制。それがボークとなり思わぬ形で先制点を献上。3回には3連打に重盗などで0-3とリードを広げられた。だが、4回以降は計5安打を浴びながらも無失点に切り抜け、6、7回の反撃で1点差まで迫っただけに序盤の投球が悔やまれた。武田は「初回にボークを取られて気持ちが沈んだ。1点の大切さ、1球の重みを知った。今年にかけていたので本当に悔しい」と声を振り絞った。

14年以来8年ぶりの甲子園出場を逃した奈良崎匡伸監督は「選手はよく頑張ったが、打てなかったのがすべて。武田はしんどい中、よく投げてくれた。序盤で点を取れなかったのが響いた」と振り返った。チームはこの日の先発9人中4人が2年生。悔しさをバネに新たな歴史を刻んでみせる。