エースの熱投で初優勝に「王手」をかけた。聖和学園が第3シード古川学園を下し、創部初の決勝進出を果たした。エース右腕・阿部航大(こうだい、3年)が今夏最多の135球を投げ、4安打完封。持ち味のテンポの良い投球で2年連続4強の相手を寄せつけなかった。春夏通じて初の甲子園出場がかかる決勝は今日27日、第1シード仙台育英と対戦する。

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ともに創部初の決勝進出をかけた一戦で、阿部航大が勝利を引き寄せた。1回。いきなり2安打1四球で1死満塁とされたが、エースは冷静だった。「自分の中では失点してもいいと思っていた。完璧を求めすぎてしまうと自分のピッチングが崩れると思った」。自分のボールを信じ、丁寧にミットへ投げ込んだ。後続を遊飛と一ゴロに封じ無失点で切り抜け、笑顔でベンチに引き揚げた。

走者を背負っても動じない。2点リードの3回1死一塁。相手4、5番から連続三振を奪い、4回は自身の適時打を含む3連打で3得点。中盤に点差を広げると勢いが増した。4回以降は「甘いコースでもどんどんストライクを取っていこう」と味方の堅守にも助けられ、1安打無失点。凡打の山を築き、チーム史に新たな1ページを刻んだ。

今夏は全5試合中4試合に先発。2度の完封を含む36回2/3を5失点(自責4)で防御率0・98をマーク。安定した投球を続けるエースについて山崎渉監督(39)は「丁寧に投げていることが一番。狙い通りにボールを投げられるのが大事なポイントであり、そこは思い通りに投げられている」と太鼓判を押した。

初の甲子園出場をかけ、仙台育英との「宮城頂上決戦」に挑む。21年8月の県中部地区予選では0-1で惜敗。阿部航大は、4安打1失点完投した。「自分の投球で自信になる部分もあった。負けたが宮城のトップレベルの基準を知れたので、自分たちの糧になった部分もあった」。約1年後に訪れた再戦。冬と春を経て成長した姿で、育英打線を封じ込む。【相沢孔志】