光南のエース小林貫大投手(3年)が、最後の打者を左飛に打ち取り、右こぶしを力強く握った。「残りのイニングに全てをぶつけようと気持ちで投げた」。7回無死一塁から2番手で登板。負傷交代となった先発藤田海投手(3年)の分も全力で右腕を振った。最速142キロの直球を軸に、3回を1安打投球。毎回の4三振を奪う快投で応えた。

打っては「3番」で決勝打を放った。1-1の同点で迎えた8回無死一、三塁。カウント1-2からの4球目。内角のスライダーを振り抜き、心の中で叫んだ。「落ちてくれ~」。打球は高々と舞い上がり、右翼手のグラブをかすめながらポトリと落ちた。三走が生還。終盤までもつれた投手戦を制し「今大会は打撃で貢献できていなかったので良かった」と笑顔で振り返った。

ライバルの思いも胸に「最終決戦」に臨む。試合後、田村のエース桑原雅仁(3年)に声をかけられた。「俺らの分まで甲子園に行ってくれよ」。昨夏は決勝で敗れ、甲子園出場にはあと1歩及ばなかった。16年ぶり2度目の優勝をかけて、強豪・聖光学院と対峙(たいじ)する。小林は「聖光さんは一番倒したい相手です」と闘志を燃やした。