センバツ8強の星稜が大敗した。14失点は18年春の三重戦に並ぶ甲子園での同校史上ワースト。

マーガード真偉輝(まいき)キアン投手(3年)が9失点で2回途中KO。2回までで勝負は決した。「悔しい気持ちが一番大きいです。球も調子もあまり悪くなかったが、決めにいったボールをファウルにされた。打者が狙い球を何に絞っているか分からなかった。相手が素晴らしかった。ファウルを多く打たれたのが今日のポイントかと思います」。エース右腕は素直に相手打線をたたえた。進路については「この実力なので、まだ分かりません」と話すにとどめ、プロ志望届を提出するかは未定という。

星稜は昨夏、石川大会の準々決勝を前に新型コロナ感染拡大で無念の辞退。現3年生は2年連続で夏の甲子園への道を閉ざされる先輩の姿を見てきた。

現チームも順風ではなかった。今年4月に就任したばかりの田中辰治監督(45)が5月下旬に体調不良を訴え休養。山下智将部長(40)が急きょ監督代行になり、今夏の指揮も執った。

山下監督代行は選手、部長として何度も甲子園を経験しているが指揮を執るのは初めて。機動力を使うなど、強気の野球を押し出して勝ち上がってきたが、甲子園では苦い結果になった。

「やりたい野球ができなかった。相手さんの打撃が1枚も2枚も上手だった。私がもう少ししっかりしていれば、もっと締まったゲームができたと思う。みんなに申し訳ないと伝えたい。3年生は本当にいろいろなことがあった2年半。いろいろなことで苦しく、つらい思いをしてきた。本当によく我慢して、耐えて、最後ここに戻って来られた。本当によく成長してくれた」と神妙に話した。