3年ぶり7度目出場の鶴岡東(山形)は、盈進(えいしん=広島)に2桁安打2桁得点で快勝した。山形・鶴岡市出身の前田夢翔内野手(3年)が7回に本塁打を放つなど、3安打1打点の活躍。前回出場の19年に続く、2大会連続の初戦突破に導いた。大会初日に勝った一関学院(岩手)、この日創志学園(岡山)を下した八戸学院光星に続き、これで東北勢は3戦3勝の好スタートを切った。

「ツルトウの4番」が、笑顔を咲かせた。4点リードの7回2死。前田がカウント3-1から甘く入った直球に反応し、体を高速回転。芯で捉えた打球は浜風に乗り、左翼席に吸い込まれた。「強く振ろうということを意識して打席に入りました。入るとは思わなかったので良かったです」。次第に大きくなる歓声と拍手の音を感じながら、駆け足でダイヤモンドを1周した。

甲子園での活躍を願った人がいる。鶴岡三中時代に在籍した酒田リトルシニア・高清水太郎監督(53)と井上芳(かおる)ヘッドコーチ(52)だ。今夏の地方大会では4番に座り、15打数7安打5打点で打率は4割6分7厘を残した教え子について、井上コーチは「まさかツルトウで4番を打つとは思わなかったです」と成長に驚いていた。

入団当初は捕手で肩も強く、2年生から主力。3年生の時にはリトルシニア日本選手権出場に貢献した。卒団後は関西や関東から入学する選手が多い鶴岡東に進学し、最後の夏に背番号「3」をつかんだ。同監督は「ベンチに入って4番を任されるのはすごいこと。非常に頑張ったと思いますし、うれしい限り」と目を細めていた。

この日は前田が1本、土屋奏人捕手(3年)が2本の本塁打を放ち、12安打12得点と球場を沸かせた。2回戦は今秋ドラフト候補の山田陽翔(はると)投手(3年)を擁する近江(滋賀)が相手だ。好投手を打ち崩し、過去最高の3回戦進出をつかんでみせる。【相沢孔志】