プロ注目の148キロ右腕・日高暖己(あつみ、3年)が初戦で夏を終えた。

「そんなに調子は悪くなかった」と言い、初回にこの日最高の144キロをマークし、9奪三振。しかし、飛んだ方向が悪かったり、打球が風に流されたりと、仲間がわずかにさばききれない不運も重なって13安打を浴びて5失点した。「最後まで仲間が逆転してくれると信じていた」と162球で9回を投げ抜いた。

家から学校まで自転車で10分かからない。宮崎・日向市で4人兄姉の末っ子として生まれた。長兄諒夏(りょうか)さん(24)次兄冬暉(とうき)さん(23)は富島野球部OBで、父大介さん(47)は同高バレーボール部OB。当然のように富島に進んだ日高だが、富島中時代は「末っ子で甘えん坊」(母リカさん)ということもあり、兄2人が入った延岡市の硬式チームではなく、自宅から徒歩数分の中学で軟式野球部に入り、遊撃手としてプレーした。

成長期には、軟式が良かったのか。好物の母のカレーライスをばくばく食べて、中学2年から急に背が伸び、高校で本格的に投手転向。2年春から宮崎・都城OBのオリックス山本のフォームを参考にして急成長を遂げ、187センチの大型右腕として、プロの注目を浴びるようになった。

甲子園出場がかなわず、この日、アルプスで応援してくれた兄2人からは「楽しんで来い」と送り出された。「たくさん課題が見つかったし(ドラフトに)かかるかどうかもわからないけど…」と言うが、プロ志望届は出す意向だ。

「夏」「冬」と名前に季節の入る兄と微妙に違い、日高には「暖」の字が入る。「本当は“秋”を入れようと思ったけど、私が秋の字が好きじゃなくて。暑くなく、寒くない季節で“暖”にした」とリカさん。夏が終わっても、まだまだ充実の季節が待っている。