仙台育英(宮城)が「4度目の正直」で白河越えを果たす。甲子園では夏2度、春1度の準優勝を経験。東北勢としても決勝に過去12度進出しながら、いまだに優勝はない。22日の全国高校野球選手権決勝では下関国際(山口)と初優勝をかけて激突する。

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東北勢は春に3度、夏に9度、優勝に王手をかけた。それでも歓喜の瞬間はまだ訪れていない。過去12チームのうち69年夏の三沢が松山商と引き分け再試合になったので試合数は13あるが、13試合で東北勢がリードを奪ったのはわずか3イニングしかなかった。

3イニングとは107年前の1915年、夏の第1回大会で秋田中が7回に1イニング、03年夏の東北が2、3回の2イニング記録しているだけだ。03年の東北は2回裏に2点を先制。先発ダルビッシュで逃げ切れるかと思いきや、勇退を決めていた72歳の木内幸男監督(常総学院)に攻略された。ダルビッシュは「2点取ってもらって勝てる試合だった」と語っていたが、右すねの炎症と腰痛を抱え体調万全ではなかった。

リードを経験した秋田中と東北だけが先制し、残り11試合は先制点を奪えていない。これまで東北勢の相手は藤浪晋太郎(大阪桐蔭)小笠原慎之介(東海大相模)ら強力ではあったが、それにしても優位に立つ時間があまりにも少なかった。決勝戦のポイントはやはり先制点にありそうだ。

15年に佐藤世那(仙台育英)が準決勝まで541球を投げ、休養日なしで東海大相模と決勝。18年は吉田輝星(金足農)が749球を投げ、これも休養日なしで大阪桐蔭と対戦。最近はエースの疲弊もあった。今回の仙台育英は投手陣が5人おり、休養十分。これまでの東北勢になかったリードを保つ展開に持ち込むことは可能だ。【織田健途】