100校目の初優勝をかけた熱戦が幕を開ける。第104回全国高校野球選手権は今日22日、甲子園で決勝戦が行われる。15年以来7年ぶりに決勝進出し、東北勢初優勝を狙う仙台育英(宮城)は、大阪桐蔭や近江(滋賀)と優勝候補を撃破してきた下関国際(山口)と対戦する。両校は21日の休養日に甲子園練習を行った。

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仙台育英が悲願の「大旗の白河越え」に挑む。東北勢が甲子園の決勝舞台に立つのは、18年夏の金足農(秋田)以来4年ぶり。東北勢春夏通算13度目の挑戦で悲願を達成する。佐藤悠斗主将(3年)は「今まで東北は優勝できてなくて、一番大きいチャンスは今年しかない。ここは取りこぼしたくないというか、『絶対に自分たちが歴史を変えてやる』という気持ちでやりたい」と意気込んだ。

決勝前日の甲子園練習は、降雨の影響を受け、主に室内練習場で汗を流した。練習開始前には須江航監督(39)がグラウンドの本塁後方にナインを集め、打球の予測や準決勝での走塁ミスなどについて指導。その後は外野芝生部分でキャッチボールを約10分間行い、室内に移動した。

野手は「仮想下関国際」に注力した。佐藤主将が「本番に近いというか、もしくはそれ以上」と話す左右のベンチ外投手の球を打ち込み、実戦感覚を養った。投手陣は古川翼投手と斎藤蓉投手(ともに3年)の2人がブルペン入りした。

日本一まであと1勝だ。佐藤主将は「本番も緊張せず、自分たちのプレーに自信を持ってやっていきたい」。今度こそ東北に大旗を持ち帰る。【山田愛斗】

◆白河の関 勿来(なこそ)の関(福島県いわき市)、念珠(ねず)ケ関(現鼠ケ関、山形県鶴岡市)とならぶ奥羽三古関の1つ。栃木県との県境に近い福島県白河市に5世紀ごろ、蝦夷(えみし)の南下を防ぐとりでとして設置された。奈良時代から平安時代ごろには、人や物資の往来を取り締まる機能を果たした。白河関跡は国指定の史跡。関跡を境内とする白河神社には、源頼朝の挙兵を知った義経が鎌倉に向かう道中、勝利を祈願したと伝わる。西行、松尾芭蕉ら歌人、俳人も多く訪れ、名歌を残した。東北勢は甲子園で春夏通じて優勝がなく、悲願のVはこの関所になぞらせ「白河越え」といわれてきた。