仙台育英(宮城)が下関国際(山口)を下し、春夏通じて初優勝を果たした。東北勢としても春夏通じて13度目の挑戦で初優勝となり、悲願の「白河越え」を遂げた。

0-0の4回1死三塁。4番の斎藤陽外野手(2年)が一、二塁間を強いゴロで破る右前適時打で先制。4-1と3点リードの7回1死満塁では、県大会でメンバー外だった岩崎生弥内野手(3年)が、今大会チーム初本塁打となる満塁本塁打を放ち、試合を決めた。

先輩たちが喫した1敗が仙台育英を強くした。昨年度のチームは東北屈指のタレント軍団として、昨春センバツで8強入り。だが、夏は県大会4回戦で仙台商にまさかの敗退。須江航監督(39)は「県大会で負けたら甲子園ってないんだと、これで終わる怖さを忘れてしまっていた」と当時を振り返る。

聖地を逃した代償は大きかったが「これ以上の教材はないです。もう、2度と起こさないように、教訓になりましたよね」と、この1敗を糧に再起することを誓った。

あの敗戦から1年が経った。甲子園の舞台に戻り、快進撃を続けた。大会登録メンバー18人のうち16人が東北出身者。須江監督は「競争の激化がないと、東北チームの優勝はない。チーム内競争で日本一になったときに、高校野球の歴史が変わる」と常々口にしてきた。

今大会は最速145キロ超え5投手に注目が集まったが、ベンチ外でも140キロ超えが複数在籍する「投手王国」を形成。貧打だった打線も投手陣に触発されるようにつながった。東北勢初優勝にふさわしい最強チームが完成した。

◆仙台育英 1905年(明38)創立の私立校。生徒数は3996人(女子1883人)。全日制は特別進学コース、外国語コースなどがあり、広域通信制もある。野球部は30年創部で部員数82人。甲子園出場は春14度、夏は29度目。主なOBは巨人松原聖弥、ソフトバンク上林誠知、ロッテ平沢大河ら。仙台市宮城野区宮城野2の4の1。加藤雄彦校長。