秋季高校野球新潟県大会はきょう8日に開幕する。初戦の2回戦で村上と対戦する新発田中央は、北信越出場圏内の4強入りを狙う。16強だった今夏の主力が5人残って経験は豊富だ。甚大な水害に見舞われた村上市、関川村で災害ボランティアを1日だけながら経験。練習試合も計25ゲーム消化するなど、充実した夏を過ごしたナインは秋に快進撃をもくろむ。

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新発田中央の秋のキーワードは「打撃」だ。今夏の4回戦で3、4番コンビを組んだ主将の大期天晴捕手(2年)と柳沢一希三塁手(同)は「打ち勝ちたい」と、打撃を看板に勝ち進む決意だ。打撃の意識改革も完了済み。長打狙いから、チーム打撃に変わった。夏の4番から秋は2番になる柳沢は「1、2番でチャンスを作る」とつなぎ役に徹するつもりだった。

円山宏大監督(39)は「夏を経験した5人の野手がいたから新チームは作りやすかった」と言う。8月までに練習試合も、控え組を含めて25試合消化。主に県外勢と経験を積んだ。8月7日には山形学院に遠征。そこで、同3日の記録的な大雨で被害を受けた被災地の惨状を目にした。往路は被災地域を迂回(うかい)する鶴岡市経由だったが、帰路は最短ルートの国道113号。関川村など国道沿線の厳しい現状を目撃した。大期は「線路が宙に浮いていたり、普段は見ない景色だった」と言う。土砂崩れなどのツメ跡も残り、帰路に費やした時間は往路の3時間半とほぼ変わらなかった。

そんな被災地の現状を知ったナインは翌8日の災害ボランティアを決めた。9日から再び県外遠征を控えていたが、貴重な練習日を割いてボランティアに励んだ。1、2年生37人に、現役引退した3年生も15人参加。2班に分かれて村上市と関川村で泥かき作業についた。練習試合で村上市神林球場を使用する機会が多いだけに、恩返しの意味もあった。円山監督は「登録20人を使ってでも、4強の目標に近づきたい」とボランティアで力を合わせたナインの総力を集めて、戦い抜く覚悟だった。【涌井幹雄】