夏の甲子園8強に終わった大阪桐蔭は、来秋ドラフト候補の最速148キロ左腕、前田悠伍投手(2年)が新主将に就き、覇権奪回を目指す。この日は11安打&3投手完封リレーで春日丘に圧勝。だが、ベンチで鼓舞した前田は引き締めた。

「自分たちはまだまだヘタクソ。必死さを持ってやらないと勝ち進んでいけない。粘り強さ、ガムシャラさを一番大事にしてます」

屈辱からはい上がる新キャプテンの所信表明だ。8月18日、甲子園準々決勝の下関国際(山口)戦では9回に決勝打を浴びて逆転負け。相手を後押しする球場の声援にのまれた。「自分のなかでは、あの空気を楽しんでいくと思っていた。でも、先頭打者にヒットを打たれて空気が相手にいって、いま思えば、受け身になってしまった。観客の声で自分の気持ちが負けてしまった」。涙に暮れた夏の敗戦を糧に変えていく。

チームの投手主将は異例だが、西谷浩一監督(53)は「前のチームから一番、経験を積んでいる。一番、責任を感じてもらって前田が先頭を切ってやるのがいい」と話した。新チームは新顔が並ぶ。この日の先発野手で夏の登録選手は村本勇海内野手(2年)だけ。1年生も目立つ。3番の徳丸快晴外野手や、両親がスリランカ人のラマル・ギービン・ラタナヤケ内野手は、秋初戦で本塁打デビューした右のスラッガーだ。野球人生で初キャプテンの前田は言う。「自分の感情をぶつけるのではなく、巻き込んでいく。秋の日本一は目標の1つ」。センバツ連覇へ、名門が新たなスタートを切った。【酒井俊作】

▽大阪桐蔭・徳丸(3番で5回に中犠飛) 当てに行かず、先輩からもフルスイングで、考えずにいっていいと言われた。そこをキッチリやっていきます。

▽大阪桐蔭・南恒誠投手(2年、最速143キロ右腕は先発3回を無失点) 前田頼みでは上のレベルで勝っていけない。目の前の勝ちにこだわる。